地域包括医療ケア

はじめに

文化、経済の発展と高齢社会の中で医療が大きく変わりました。かつて医療の中心であった結核、 赤痢、コレラ、チフス、ジフテリアなどの感染症は減少し、それに変わって糖尿病、肥満、 高脂血症など生活習慣病と呼ばれる慢性疾患が主体となっています。これら慢性疾患では一生病気と付き合う事が多くなり、 生活習慣の改善など予防のための健康づくりが重要となって来ます。一方、現代社会の主翼を担う高齢者は血圧が高く、 白内障があり腎臓、心臓が悪く腰も痛いなど病気を幾つも抱えている事が多々あります。また青壮年に比べ病気に対する抵抗力も弱く、 さらに寝込めば認知症が出現したり歩行機能が衰えたりします。そのため入院の原因となった病気が治癒してもそのままではなかなか社会復帰はできません。まして独居、あるいは高齢世帯では一度、病にかかると現状に戻る事はなかなか困難です。

このような時代背景の中で坂下病院は従来から地域包括ケアを提唱し実践してきました。地域包括ケアとは単に医療(キュア)に留まらず疾病予防のための健康づくり、在宅ケア、リハビリテーション、福祉・介護サービス(ケア)の全てを包含する生活を視野に入れた全人的医療です。言い換えれば保健部門と一緒になった健康づくりによる病気の予防を行うものです。急性期の医療が終了した後もそれで終りではなく福祉、介護と連携、あるいは一体となって社会復帰できるように支援していく、あるいは再発予防を行っていくのです。高齢社会において地域の方々が住み慣れた地域で安心して暮らせるためにもこうした地域包括ケアは重要です。興味あることにこのような地域包括ケアが充実している地域では寝たきりが少なく、医療費も減少すると言われています。健康医療課、かかりつけ医、介護施設など関係諸機関と連携し中津川市全体に地域包括ケア体制が構築されれば素晴らしいことです。そのためにも地域包括ケアを推進してきた坂下病院の役割は大きいと思います。

 

国民健康保険 坂下病院

院長 酒井雄三

国保直診とは 

「国保直診」は、国民健康保険診療施設を略したもので、市町村が国民健康保険を行う事業の一つとして設置したものです。地方自治体は、住民の福祉を増進する目的で「公の施設」を設置することができることになっており(地方自治法第244条)、その一つとして公立病院、公立診療所を設置しています。一方、国民健康保険事業を行う保険者である市町村は、国民健康保険の保健事業の一つとして病院、診療所を設置することができます(国民健康保険法第82条)。すなわち、国保直診は、地方自治法に基づき設置された「公の施設」であると同時に国民健康保険法に基づき設置された「病院、診療所」であります。

公立の病院、診療所は、医療水準の向上や民間医療機関の進出が期待できない地域における医療の確保等の必要性から設置されていますが、「国保直診」は、これらの事情に加えて、国民健康保険制度を広く普及するため無医地区等の医師不足の地域をなくす目的で設置されて、今日まで活動しています。国保直診は、医療機関として医療サービスを提供することは当然ですが、医療に加えて保健(健康づくり)、福祉(介護)サービスまでを総合的、一体的に提供する「地域包括ケアシステム」の拠点として活動することを目標としています。

すなわち、国保直診は、「地域包括医療・ケア」を実践することを理念とし、「国保直診ヒュー マンプラン」を活動の指針に掲げ、地域住民のために活動することとしています。

 

国保直診活動の背景

今までのご説明で国民健康保険診療施設(国保直診)の活動、その理念や目標等について、ご理解いただけたことと思います。

国保直診は、時代の大きな変化に適切に対応し、地域住民の健康福祉の向上、確保のために取り組んでいます。

医療を取り巻く環境は、Cure(キュア)からCare(ケア)へと大きく変わってきています。そのキーワードは、「少子高齢化」といえます。介護保険制度の創設や数次にわたる医療法の改正もその流れといえます。

従来の医療は、Cure(キュア)に偏りすぎていたきらいがあります。医学・医療技術の進歩は救命率のアップをもたらしましたが、反面救命した後、障害が残った状態での療養生活者が増加しています。これからは救命後のCare(ケア)に取り組んでいく必要があります。これらのニーズに応えていくためには、医療機能のみならず、保健、福祉(介護)の施設を整備する等多機能の充実が求められています。

国保直診は、このような背景、時代の要請に応じて、保健、医療、福祉・介護サービスの拠点として、活動することを目標としています。

坂下病院の地域包括医療・ケアシステム

地域包括医療・ケアの坂下病院の役割

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地域包括医療・ケア組織図

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